病院・診療所・薬局における覚せい剤原料の取扱いについて(Q&A)
(問1)
現在、我が国において医薬品として販売されている覚せい剤原料にはどのようなものがありますか。
(答1)
平成11年2月現在、我が国で市販されている医薬品である覚せい剤原料には、次の物があります。
(1)エフェドリン(1-フェニル-2-メチルアミノプロパノール−1),その塩類及びそのいずれかを含有する物のうちエフェドリンとして10%を超えて含有する物。
(2)メチルエフェドリン(1-フェニル-2-ジメチルアミノプロパノール-1),その塩類及びそのいずれかを含有する物のうちメチルエフェドリンとして10%を超えて含有する物。
塩酸メチルエフェドリン末
メチルエフェドリンサッカリネート末
(3)セレギリン(N・α-ジメチル-N-2-プロピニルフェネチルアミン)、その塩類及びそのいずれかを含有する物。
(問2)
病院・診療所・薬局において、覚せい剤原料を取り扱うには何か手続きが必要ですか.
(答2)
病院・診療所はその業務のため、薬局は処方せんに基づく調剤業務のためであれば、覚せい剤原料取扱者等の指定を受けずに医薬品である覚せい剤原料を取り扱うことができます。【法第30条の7、9、11】
ただし、見せい剤原料を含有する薬局製剤の製造承認を受けている者については、以下のとおりです。
@覚せい剤原料に該当する医薬品を製造する場合(エフェドリン10%を超える製剤を製造する場合等)には、覚せい剤原料製造業者の指定を受ける必要があります。
A覚せい剤原料から覚せい剤原料に該当しない医薬品を製造する場合(エフェドリン10%以下の製剤を製造する場合等)には、覚せい剤原料取扱者の指定が必要となります。【法第30条の2】
(問3)
病院・診療所・薬局は、どのような者から医薬品である覚せい剤原料を購入することができますか。
(答3)
病院・診療所・薬局の解説者は、覚せい剤原科輸入業者、覚せい剤原料製道業者及び覚せい剤原科取扱者からでなければ購入することはできません。【法第30条の9】
(問4)
覚せい剤原料取扱者等の指定を受けていない病院・診療所・薬局は、医薬品である覚せい剤原料を誰に護り渡すことができるのですか。
(答4)
当該病院及び診療所においては、診療に従事する医師が施用のため患者に交付する場合以外は誰にも譲り渡すことはできません。
薬局においては、当該処方せんを所持する者若しくはその看護に当たる者以外は誰にも護り渡すことができません。【法第30条の9】
(問5)
同一法人の病院や薬局間で、医薬品である覚せい剤原料を譲り渡すことができますか。
(答5)
譲り渡す側が、覚せい剤原料取扱者等の指定を受けている場合はできますが、指定を受けていない場合は、同一法人間であっても譲渡・譲受はできません。【法第30条の9】
(問6)
病院・診療所・薬局において、医薬品である覚せい剤原料を購入する際の譲受証の印について教えてください。
(答6)
譲受証の印は、開設者の印となりますが、当該譲受証に押印するための専用印を作成することでも差し支えありません。
解説者が国または、地方公共団体の場合は、当該施設の長の氏名を記載し、公印又は公印に準ずるものを押印してください。
書式については覚せい剤取締法施行規則第12条の2に規定する別記第10号様式の3です。
(問7)
譲渡証・譲受証の交換は、いつ行うのですか。
(答7)
譲受側が「譲受証」を先に送付し、譲渡側で「譲受証」を受領した後に「譲渡証と覚せい剤原科」の交付を受けるか、「譲受証」と「譲渡証と覚せい剤原料」を同時に交換するか、いずれかの方法によってください。
離島・ヘき地など特別な理由がある場合は、郵送でも差し支えありませんが、この場合郵送の事実を立証できる書留郵便などにしてください。
*譲渡証又は譲受証の交付を受けた者は、譲受け又は譲渡しの目から2年間保存しなければなりません。【法第30条の10】
(問8)
医薬品である覚せい剤原料を譲り受ける場合、注意すべき点は何ですか。
(答8)
医薬品である覚せい剤原料を護り受ける際には、双方が立ち会い
(1)譲渡証の記載事項及び押印等に不備がないか。
(2)譲渡証の品名、量と現品が相違しないか。
などを確認してください。
数量確認時に破損等を発見した場合には、譲波証を返し、覚せい剤取扱者等から譲受証の返納を受け、譲渡の対象となった医薬品である覚せい剤原料を覚せい剤原料取扱者等が持ち帰り、譲渡側が都道府県知事に事故届を提出することになります。
実際の使用段階において開封した際に数量の不足、破損等を発見した場合は、病院・診療所・薬局の開設者が都道府県知事に事故届を提出しなければなりません。【法第30条の14】
(問9)
病院・診療所・薬局において、覚せい剤原料を保管する場所はどのような所が適していますか。
(答9)
病院・診療所・薬局内の「かぎのかかる場所」であり、かつ「人目につかない場所」で保管してください。
具体的に言えば、
・施錠設備のある倉庫・薬品庫・ロッカーなど
・覚せい剤原料専用金庫(重量金庫)
・容易に破られない材質で、かつ堅固な錠の付いた保管庫
・床にボルト等で固定され容易に持ち運びできない保管庫
・調剤室の鍵がかかる引き出し
などです。【法第30条の12】
*保管庫は覚せい剤原料専用とする必要はありませんが、その場合他の物と区別して保管してください。
*麻薬保管庫には保管できません。
(問10)
過去に購入していた医薬品である覚せい剤原料が、古くなったので廃棄しようと考えていますが、どのような手続きが必要ですか。
(答10)
病院・診療所・薬局の開設者は、所有する医薬品である覚せい剤原料を廃棄しようとするときは、都道府県知事に廃棄届を提出し、覚せい剤監視員の立ち会いのもとに廃棄することになります。
具体的な手続きについては、都道府県薬務主管課に照会してください。
【法第30条の13】
(問11)
入院病棟で、看護婦が医薬品である覚せい剤原料1錠を紛失した場合、何か手続きをしなくてはなりませんか。
(答11)
たとえ1錠でも紛失した際は、速やかに、その医薬品である覚せい剤原料の品名、数量、その他事故の状況を明らかにするため必要な事項を、都道府県知事に届け出なければなりません。
紛失以外にも、盗取、所在不明等の場合にも届け出なければなりません。また、盗取の場合には、速やかに警察にも届け出てください。【法第30条の14】
(問12)
病院・診療所・薬局において、医薬品である覚せい剤原料の使用量、在庫量等を管理するうえで、どのような帳簿を作成したら便利ですか。
(答12)
法律上規定はありませんが、管理するうえで麻薬の帳簿と同様に
(1)譲り受けた品名、数量並びに年月日
(2)護り受けた相手の氏名等
(3)譲り渡した品名、数量並びに年月日
(4)譲り渡した相手の氏名等
(5)施用した品名、数量並びに年月日
(6)施用した患者の氏名等
(7)事故届した品名、数量並びに年月日
(8)廃棄した品名、数量並びに年月目
などを記録すると便利です。【法第30条の17】
(問13)
患者又は患者の遺族等が、病院・診療所・薬局に不要になった医薬品である覚せい剤原料を持参したときには、どのように対応したらいいですか。
(答13)
患者等が、不要となった医薬品である覚せい剤原料を持参した場合には、持参した者の依頼により廃棄を補助することは差し支えありません。
(問14)
他の病院に通院していた患者が入院することになり、飲み残した医薬品である覚せい剤原料を入院と同時に持参した場合、どのように対応したらいいですか。
(各14)
患者自身が管理し継続して施用する場合は問題ありませんが、処方変更により服用を中止する場合は、患者の責任下で管理してもらうか、又は廃棄するよう指示してください。(答13参考)
(問15)
業務を廃止した場合、所有している覚せい剤原料である医薬品はどのように処理すればよろしいですか。
(答15)
業務を廃止した日から15日以内に所有している覚せい剤原料である医薬品の品名、数量を都道府県知事に報告しなければなりません。
業務廃止したときに所有している医薬品である覚せい剤原料を、30日以内に覚せい剤原料を取り扱える指定を受けている者又は、病院、薬局に護り渡し、かつその品名及び数量並びに譲受人の氏名及び住所を都道府県知事に報告しなければなりません。(廃棄する場合、答10を参照)【法第30条の15】
(問16)
医薬品である覚せい剤原科の錠剤を半分に割り調剤した場合、残り半錠の廃棄はどのようにしたらいいですか。
(答16)
施用に伴う消耗として焼却等の方法で廃棄してください。(廃棄届は不要です。)
粉砕して交付した場合も、残りについては同様に取り扱ってください。【法第30条の13】
(問17)
調剤中に医薬品である覚せい剤原料を汚染してしまった場合の処理方法について教えてください。
(答17)
都道府県知事に連絡し、廃棄届を提出した後、覚せい剤監視員の立ち会いのもと廃棄してください。(事故届は不要です。)【法第30条の13、14】
(問18)
医薬品である覚せい剤原料を服用している入院忠者が死亡した場合、病棟に保管されている残余は、どのように処理すればいいですか。
(答18)
返却された医薬品である覚せい剤原料は、廃棄する(廃棄届は必要です。)か、又は汚染がなく品質等に問題がない場合は、他の患者に使用しても差し支えありません。
平成11年2月 厚生省医薬安全局麻薬課