◆日薬ニュース 号外−24
日薬ニュース 号外が出されましたのでお知らせいたします。

日薬ニュース

号外    平成12年11月7日(火)
発行:社団法人 日本薬剤師会(広報課)
Tel:03-3406-1171 Fax:03-3406-1499
http://www.nichiyaku.or.jp/


フェニルプロパノールアミンに関する副作用情報について

 11月6日、FDA(米国食品医薬品局)は、塩酸フェニルプロパノール
アミン(PPA)含有製剤の製造業者等に対して、これらの製品の販売を自主的に中止するよう要請した。PPAはOTC薬の総合感冒剤・鎮咳剤・鼻炎薬あるいは(アメリカにおいては)食欲抑制薬に、また、医療薬にも含有されています。

 今回の要請は、PPA製剤使用患者において脳出血のリスクが高まったとの米国エール大学の研究報告がなされたことによります。その研究では、くも膜下出血または脳内出血のために入院した患者の使用薬剤を調査し、コントロール群と比較する方法で行われました。その最終研究報告の結果によると、脳内出血を起こした702人の女性のうち、食欲抑制または鼻粘膜充血除去のためにPPA製剤を使用していたのは、その3.8%で、服用後3日以内に脳出血を来しており、これらの結果からPPAで脳出血のリスクが高まると結論しています。

 FDAは、脳出血の発現頻度は非常に低いものの、重篤な副作用であり、発現が予測できないこと、また、代わり得る成分があることを考慮すると、PPAはOTC薬成分として適当ではないと判断し、これを含有する製品の販売中止を要請したものです。

 同時に、FDAは消費者に対してもPPA含有製品の危険性について注意喚起し、医師や薬剤師等の専門家と相談し、PPAを含有しない製品に変更するように呼びかけています。

 一方、わが国においても、PPAを含有するかぜ薬、咳止め薬、鼻炎薬が
多数販売されていますが、厚生省は、1996年のFDAの処置(「警告表示」、「使用上の注意の改訂」に関する勧告)を受け、1996年10月、副作用の項に「激しい頭痛があらわれた場合には服用を中止する」等の「使用上の注意の改訂」をおこなうとともに、医薬品副作用情報(No.139)に「塩酸フェニルプロパノールアミン含有医薬品の適正使用について」と題する情報を掲載し、注意喚起を行っています。

 1995年、PPAを含有するかぜ薬を服用した女性が脳出血を起こした事例(転帰:回復)があるということですが、当時は因果関係は不明とされています。わが国では同症例以外は、1996年10月の使用上の注意の改訂以降、PPAが関係する副作用症例の報告はないようです。
 したがって、わが国においては、現在のところ販売中止等の処置はとられていません。しかし、厚生省は、急ぎ情報収集に務め、専門家に評価を依頼するものと思われます。その評価結果を待つ間、薬局・一般販売業薬店においては、PPA含有製剤を販売する際には、顧客に十分に使用上の注意を説明し、上記適正使用に配慮してください。